【オススメ】 川端新/月光社ボーレイ奇譚


月光社ボーレイ奇譚(1) (ボニータ・コミックス)

■【オススメ】憑依系演技ものの変形。他人になりきる人間代行の 仕事をするお話。

時代は昭和初期。便利屋稼業の変形、他人になりきる代行業を行っている月光社。そこでは、時に姿から声まで変装して代行を請け負うのだった。


社員は社長と女性の二人きり。この女性が、依頼された人物になりきり、姿形から行動まで変装するという話。依頼ごとにエピソードが展開されるのは探偵ものと同じ。一方で、ある人物になりきる、というのは憑依ものの演技と同じ。


ということで、俳優の演技話とクロスするエピソードあり。寧ろ そちらでヒロインの出自を匂わし、本筋はこちらにあるのか?と 思わせる。


大きな物語としては、相手の期待する誰かを演じることで生きている ヒロインが、自我のない状態からどう成長していくのか、が ポイントになるのだろうが、居場所も仕事も信頼するパートナーも いる状態であるというのは展開としてはネック。 エピソードを積み重ねて転がしていくことは出来てしまうだけに、 この先どう話を持っていくのか、興味深い。


【データ】
川端新 (かわばたあらた)
月光社ボーレイ奇譚
【発行元/発売元】秋田書店 (2019/1/16) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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姿から声まで、そっくりそのまま入れ替わる“人間代行”の仕事を請け負う「月光社」。ある日、1件の依頼が月光社に舞い込んだ。内容は、依頼人の親に「普通に暮らしていく」と告げること、ただそれだけ。だが、この依頼は一筋縄ではいかないようで…!? “ボーレイ”と呼ばれる少女・神保レイ子の妖しげなる変身活劇の幕が上がる…!!


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【オススメ】江戸川治/ホウキにまたがる就活戦争


ホウキにまたがる就活戦争 1 (ジャンプコミックス)

■【オススメ】実力はあるのだがあがり症ゆえに発揮できない 魔法使いの話。途中から師匠とのバディものにしたのは正解。

剣と魔法の世界。魔法学校を出ながらも就活連敗中 の少女が主人公のお話。極度の人見知りゆえ 人の目が気になって実力が出せない。 だが実際は世に5人しかいないといわれるドラゴンを 使うことのできる力量を持っているのだった。


貧乏な家で、母親が頑張って魔法学校に通わせてくれたのだが、 そんな状況でもあがり症を克服できない、というのは 少々微妙。さらに、魔法使い就職氷河期、という設定 となっているが、これは逆に売り手市場なのに彼女だけ 就職が決まらない、くらいなほうが良かったのではないか。


などと前半はもやもやする部分あり。そんな状況でも 火事場の馬鹿力でドラゴンを召喚し他の魔法使いの悪行を 止めたことで、彼らに狙われる展開に。とはいえ話のアクセルに かける中、彼女は恩人と慕う魔法使いに再開する。 師匠とのバディものとなったことで物語は転がり始めた。


ヒロインがフラットでプレーンなキャラクターで、 あがり症さえなければ、という状況なので、 むしろ師匠にポイントを移さないと 大きな物語となりえないのではないかと思うが、 そのあたりも意識したバディものとして展開するのであれば 面白くなりそう。ちょっと甘めの評価も期待値込で。


【データ】
江戸川治
ホウキにまたがる就活戦争
【発行元/発売元】集英社 (2019/1/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ホウキにまたがる就活戦争 1 (ジャンプコミックス)
ここは、剣と魔法の異世界――。魔法使い達が皆、お城の“お抱え”になることに憧れる大就職氷河期まっただ中。あがり症の魔法使いの少女・ニコは、無事に就職することができるのか!? こじらせ就活ファンタジー、開幕!!


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【オススメ】 むこうやまあつし/正しい妖怪の食べ方


正しい妖怪の食べ方 1 (BUNCH COMICS)

■【オススメ】グロテスクなものを、ほんわかで包んでソフィスティケート。

ほんわか天然系の奥さんとでかけた夫。妻が冬眠している河童をつかまえ、あまつさえ「この河童ぷくぷくしてて美味しそうだよ!!」とのたまったことに彼は頭が混乱、気を失ってしまう。


田舎では妖怪を食べるのが普通、霊力がつくということで実家から送られてくる食材を用い普段から妻は料理を作って供していたのだった、というお話。なので夫も妖怪がその目で見えるように。


妖怪を食べる、断りもなく食卓に並べ夫にも食わせている、という点でグロテスクやサイコパスっぽいとの感想もありそうだが、よくよく考えれば妻の実家では普通に食べているものであれば、それは文化の違い。そして調理の仕方もあるが食べてみればいずれも美味、ということであればますます。


そもそも、グロテスクもなにも、妖怪を食べるのと動物を食べるということに違いは特にない。作中にもあるが、昆虫を食べるのがグロテスク、というのと同じ。そんなことを思わせる、ユニークなアプローチの一作だった。よくいろいろと妖怪と調理法とを考えたものである。ま、怖いっちゃあ怖い話。


【データ】
むこうやまあつし
正しい妖怪の食べ方
【発行元/発売元】新潮社 (2019/1/9) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 正しい妖怪の食べ方 1 (BUNCH COMICS)
読切から人気を博し、連載となった注目作が遂に単行本化! いつの間にか妖怪が視えるようになっていた主人公。それはどうやら、恋人のさく子が作る料理を食べていたせいで……。揚げれば美味い、一旦木綿!? 茹でて美味しい、河童鍋!? 凸凹カップルがおくる、新感覚妖怪グルメ♪



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【オススメ】 村上もとか、千葉きよかず/ソラモリ


ソラモリ 1 (ヤングジャンプコミックス)

■【オススメ】自衛官を目指す少年を描く。 主人公が悩まない、青春ものとして稀有な作品。

主人公はパイロットを目指し航空自衛隊に 入ろうとしている高校生。母親は自衛隊員なんて、 と反対しているが、祖父は特攻隊員の生き残りで 戦後は空自のパイロット。父はそれに反発して 教師となったが、息子が自分で選んだ道には 反対していない。


そんな少年の青春を描く話。高校総体で優勝しており 大学から誘いも来たが、自分の成績を客観的に 判断すると身長も足らず記録も伸びずオリンピックは難しい。 祖父は大学出で空将にまでなったが、彼は出世より 現役で少しでも空を長く飛んでいたいので18歳から 入れる航空学生を選びたい、なので大学は進学しない。 そう主人公は決めており、悩んでおらず、迷いもないのだった。


この手の青春話は主人公が迷いながら成長する ものが多く、自衛官ものでも目的がぼんやりしがちだが、 本作の場合は登場人物に迷いがない。綺麗事に見えるが、 いや実際、たとえば宇宙飛行士は宇宙に出ることを怖いと 思うような人などは存在しないらしい。そういう人は宇宙飛行士に ならないしなれないのだと。ただの自衛官ではなく パイロットとなると、そういうことになるのだろう。 おかげで話がすっきりしていて、読みやすい。


祖父をはじめ、先代先々代も自衛官でありパイロットであった という話が随所に挟まれるが、そちらの話は賑やかし程度で バランスが良い。いろいろなエピソードは、覚悟、という観点 で語られており、のんべんたらりと生きている者からすれば、 尊敬の一言しかない。


覚悟、がベースの話なので、脱落する者には物語上のスポットは当てない。ただし、そうした人たちの気持ちは踏まえ、それもありだし当然だ、そういうこともある、と描く。女性初のパイロット、というテーマ設定もあり、話の一方の軸とはしているが、主人公はあくまでも彼女ではない。このあたりの距離感が、さすがだな、と思う次第である。


右翼的な思想で組み立てられた話ではなくもっとプリミティブでシンプルな内容で癖がない。変に構えず読める作品である。


【データ】
原作=村上もとか、漫画=千葉きよかず
ソラモリ
【発行元/発売元】集英社 (2019/1/18) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ソラモリ 1 (ヤングジャンプコミックス)
伊吹守人の夢は航空自衛隊の戦闘機パイロットになること。高校卒業とともに空自の航空学生となった守人は、同じ目標を抱く仲間とともに日本一ストイックな学生生活に身を投じる。“空の防人”をめざす空自パイロット青春譚!


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松田康志、千葉きよかず/スプラッシュ!!
村上もとか/フイチン再見!
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【オススメ】 柞刈湯葉、中村ミリュウ/オートマン


オートマン(1) (モーニング KC)

■【オススメ】自動車をサイバーパンク要素を加えて「自動者」として 歴史改変させたSFもの。ロボットやAIが人間社会をどう侵食していくか、というテーマを斜めから描いていく。

自動者、という有機労働機体が製造されている社会。世界2位の生産シェアを誇っている日本の大メーカーを舞台に描かれるSFものである。


その会社の安全調査班なる部署で働く人物が主人公。自動者に事故が起こるとなると彼らは真っ先にかけつけ、原因を究明し、次にどう繋げるかを考える。


機械ものSFであり、会社員ものでもある。そしてこの機械が、原形質と呼ばれる人間由来のものをベースに動いている、という点がユニーク。主に人間の血液を使っているのだと。そしてその人物の意思も大いに影響する、という設定となっている。


そうした特殊な機械だが、高度化すれば人の仕事を奪うということで、 反対する人や組織も多く、そのうちの一部は過激化しテロも起こしている。一方で反感を買わないようにできる限り人に寄せない努力をメーカーサイドでは行ってきた歴史もある。


さらに自動者に詳しい主人公には、肉親が反自動者テロに巻き込まれて死亡している過去があるらしい。そこに彼が自動者にこだわる理由がある様子。


描画はこなれていないのでそこをどう思うかだが、作品の雰囲気には似合っており個人的には特に気にならなかった。歴代のロボット関連フィクションを踏まえた上で作られているであろう本作がどこへ話を転がしていくのか、興味深い。


【データ】
原作=柞刈湯葉(いすかりゆば)、 漫画=中村ミリュウ(なかむらみりゅう)
オートマン
【発行元/発売元】講談社 (2019/1/9) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ オートマン(1) (モーニング KC)

2018年の名古屋。国内最大の自動者メーカー「ミカワ自動者工業」の業務は、プラスチック製の有機人形に人間の原形質を注入し、産業機械「自動者」を製造することである。『横浜駅SF』で話題をさらった希代の作家が漫画原作初挑戦で挑む会社員SF。


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柞刈湯葉、新川権兵衛/横浜駅SF

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【オススメ】 冲方丁、熊倉隆敏/十二人の死にたい子どもたち


十二人の死にたい子どもたち(1) (アフタヌーンコミックス)

■【オススメ】「十二人の怒れる男」の換骨奪胎。 自殺するために集まった見知らぬ者たちの話。

廃病院に集まってきたのはネット上の自殺サークルの 呼びかけに応じ、テストを受けて合格した人々。 そこでみんなで一緒に死ぬ手はずだったのだが、 用意されたベッドの上で既に一人死んでいた。 しかも集まったのは十三人。人数が一人多かった。


安楽死を実行するかどうか、全員一致で決める、 反対する人が一人でもいれば話し合う、 というルールのもと展開される、ほぼ密室の会話劇。 「十二人の怒れる男」を下敷きに、 「11人いる!」の要素も継ぎ足した感じ。


題材が安楽死による自死というテーマで、これだけでも話を展開できるのだろうが、それでは下敷きにした作品そのままに転がすことになってしまうので、アクシデントとして一人多いという要素を追加している。それが推理ものとして話のドライブにはなっている。


なぜ死のうと思ったのか、この場をどう考えているのか、を 時にそれぞれの人物の内面に入り込んで描写する手法は、やや鬱陶しい。下敷きにした「十二人の怒れる男」やそのパロディでもある「12人の優しい日本人」はいずれも舞台劇であるために内面を描かれることはなかった。そこに踏み込んだのは、キャラクターを際立たせる点では機能したが、作品をややごちゃつかせた感もある。そして登場人物12人はやはり多い。描き分けははっきりとなされているものの、一部のキャラクターに添え物感を覚えるのは否めない。


とはいえユニークな題材に深く切り込んでおり、面白い。 死を扱う話で面白いという表現が良いのかわからないが、 下敷きにした作品にある根本思想を踏まえた物語になっていたな、 というのが最終巻まで読んだ感想である。


というわけで最終3巻まで刊行済→十二人の死にたい子どもたち(3) (アフタヌーンコミックス)  原作はこちら→十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)


【データ】
原作= 冲方丁、漫画= 熊倉隆敏
十二人の死にたい子どもたち
【発行元/発売元】講談社 (2017/11/7) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ 十二人の死にたい子どもたち(1) (アフタヌーンコミックス)

ネット上のホームページに導かれて、廃病院に集まった十二人の少年少女。初対面の彼らの目的は全員で「安楽死」をすること。だが、決行するための地下室にはすでに一人の少年が横たわっていた。彼は、自殺か、他殺か、そもそも誰なのか。少年少女たちは不測の事態に際し、この集いの原則「全員一致」に従い話し合いを始める──! 異才・冲方丁の直木賞候補作を、実力派・熊倉隆敏が渾身のコミカライズ!


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冲方丁、夢路キリコ/シュヴァリエ

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【オススメ】 ヨシカゲ/モナリザマニア


モナリザマニア 1 (ジャンプコミックス)

■【オススメ】審美眼を持った青年が、贋作に手をかける。 「ギャラリーフェイク」の後継的作品。

絵画修復の工房を経営する祖父のもとで暮らしている 青年は芸大を目指すが4浪めに。技術はあるが、 オリジナリティがないことに、自分でも薄々気がついていた。


しかし、そんな彼が描いた絵を見て才能があると 声をかけた人物が一人。元ルーブル美術館の学芸員だったという 画商が、贋作を持ちかける。 そして主人公は自身の才能、観察と技術を証明したい、という気持ち が勝り、画商とタッグを組む。


真作のような贋作を作り出す話。主人公は、作家に憑依するかのように 審美眼をトレースできる。ただそれだけでは贋作売りの 詐欺師の話になるので、物語はより大きなテーマを用意している。 それが、モナリザ。ルーブルにあるのは贋作であり、真作は5人の所有者のうちの誰かが持っている、という設定である。


真作の可能性も含むモナリザを収集する、そのために真作のような贋作を使う、という話。無理がありそうな設計だが、コレクターにはコレクターになっただけのストーリーがある、という背景を用意し、青年がこの詐欺話、コンゲームに組み込まれるべき理由を上手に作りこんでいる。


モナリザをめぐる話である、と大きなテーマを設定して しまっており、戦う相手が明確である点で今後の展開が窮屈になる 可能性もあるが、人気が出るようであれば話を寄り道させても 良いのでは。ただそうすると主人公たちの犯罪色をどこまで消せるかを 気にしないといけなくなってしまうのかもしれないが。個人的にはフィクションにその手の倫理を持ち込むべきではないと思うがラウド・マジョリティはそういうことに五月蝿い場合が多々あるから…。


【データ】
ヨシカゲ
モナリザマニア
【発行元/発売元】集英社 (2019/1/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ モナリザマニア 1 (ジャンプコミックス)

藝術大学を目指し、絵を勉強する青年・カワセミ。だが才能は認められず、浪人の日々を送っていた。ある日、カワセミが描いた絵を処分していると、フリーで画商をしているというメルに出会う。そして次の瞬間、メルから提案されたもの……「贋作を描く気はねぇか?」メルが見出すカワセミの思わぬ才能とは…!?



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