アキリ/ヴァンピアーズ


ヴァンピアーズ (1) (サンデーGXコミックス)

■美しい絵で描く、吸血鬼もの。でもこの吸血鬼の願いは、 自身を殺してもらうこと。

大好きな祖母が亡くなった。14歳の主人公は初恋もまだだったが、 祖母の葬式の席に心を奪われる相手が現れる。そのまだ見ぬ王子様は、 同性だったのだが。


その子は眼力で人を魅了し自分の言い分を聞かせて、主人公の家に 泊まり込む。彼女は祖母の友達であったという。随分年の離れた 友達、と思いきや彼女はヒロインの首筋を噛み、血を吸った。 不老不死のヴァンパイアなのだった。


吸血鬼、ヴァンパイアという呼ばれ方が一番キライだという彼女。 何かを探し求めていたが、それは剣。その剣で自分を刺殺してくれ、 という。死にたがりの吸血鬼。まぁ長く生きていれば仕方がない。楽しいことがなかったのか、というと楽しいことのほうが多かった、楽しいことばかりだという。しかし、それ故に、残されてしまう哀しみが彼女にはあるらしかった。


とはいえそんな望みはきけない、として主人公は首を縦に振らない。 そこで、両者の同居生活が始まることになる。しかしこの話、 動きようがあるのかしらん?基本的には、ちょいとなまめかしい 百合チックなお話。可愛らしい絵で、それを見ているだけでまぁ満足 ではあるが。なおヒロインだけでなく同級生にもどうやらヴァンパイアに 血を座れているらしき子がいて、続刊の話の進展はそこからになるのだろうか。


【データ】
アキリ
ヴァンピアーズ
【発行元/発売元】 小学館 (2019/8/19) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ ヴァンピアーズ (1) (サンデーGXコミックス)
ヒトの少女と吸血鬼の少女、小さな恋の物語
「然るべき相手は自分の心が教えてくれるもの」
14歳の一花は亡き祖母の教えを胸に刻み、 まだ見ぬ王子さまが自分の心を奪ってくれるのを待っていた。
そんな彼女が心を奪われてしまったのは 怖いくらいにきれいでかわいい異国の少女。
そして、人の血を吸う吸血鬼。


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三冬恋、原秀則/桜桃小町


桜桃小町 (SPコミックス)

■女性の公儀隠密が仕事と情との間でいい塩梅な 決着を図ろうと尽力するお話。

時代は江戸、ヒロインは漢方医。だがそれだけではなく、 公儀隠密も請け負っているのだった。


女医として知り合った人に絡んだ隠密仕事を 嫌々請負うヒロインの話。仕事は受けたくないが 恩があり義理がある、そこでなんとか自分の情と 噛み合わせて納得のいく決着を図ろうと 模索する。


ヒロインは基本的に明るいが話は基本的に明るくはないわけで、 コメディとシリアスなタッチが交互に出てくるのは好みが分かれそう。 また原秀則氏の作品を読んできた人には、お、お色気シーンが そのまんま出てくるのか、というのはちょっとした違和感というか 驚きが。


特に最初の話は花魁にその役割を担わせるが、 以降はヒロイン自身にも役割が振られる。しかも戦闘シーンに 混ぜ込まれるというのが絶妙なのか微妙なのか。必然性のあるヌードってやつなのか…。そして、安永航一郎氏の作品を 読んでいるような感覚もなくはなく。


巻末にある、藩が未成年者を拐かしてくる話は題材としてもユニークだった。そんな話が実話としてもあったのか。なお美人双子姉妹、とあって表紙も確かにそうだが、姉の活躍する場面なんてあったっけ…?続刊発売済です→桜桃小町2 (SPコミックス)


【データ】
原作=三冬恋、漫画=原秀則
桜桃小町
【発行元/発売元】 リイド社 (2018/10/31) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 桜桃小町 (SPコミックス)
江戸屈指の呉服問屋“小丸屋”の正体は、公儀からの依頼を秘密裏に請け負い面倒事を解決する隠密の家であった。 その家に生まれた“桃香”と“桜紅”。 双子の姉妹が力を合わせて事件を解決へと導く。 美人姉妹が魅せる奇想天外忍法帖!!


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池野恋/ときめきまんが道 ―池野恋40周年本―


ときめきまんが道 ―池野恋40周年本― 上 (愛蔵版コミックス)

■著者の自叙伝。面白いのだけれど、薄味?初期作品収録で資料的な意味はあるが、値段設定はちとお高めか…とはいえ下巻も買いますが。

池野恋さんの漫画家としての歩みを描く自伝。冒頭でお宝紹介あり、巻末には初期作品の収録あり。


当人曰く「ドラマチックな展開はおろか 山も谷もさほどないほぼ平らな人生ですが」とあり、そう言われるとそう見えてしまうが、いやいや、19歳で初めて描き上げた作品で受賞して、即デビューとなり、トントン拍子で作品を発表しつつ、OLとしての仕事もある、というのは、結構なドラマである。それを淡々と描くので薄味感はあるが、根底に明るさがあるのでするすると楽しく読める。結果、なんかぼやっとしているな、と思いつつ、好感持てるので同時発売の下巻もやっぱり読まないとな、という気持ちになる。


70年代に10代で岩手からデビューして以来地元在住のまま仕事をしていたという話をもっと掘り下げても別の魅力が出たように思うが、さらっと流れるように描くのが著者の持ち味なのでそうなると違和感が出たのかな。自伝となるとスタイルかえたり身構えたり作り込んだりという作家さんが多い中、本作は特に違和感なく読める点で著者の本質的な魅力が如実に現れた作品といえるのでは。


【データ】
池野恋
ときめきまんが道 ―池野恋40周年本―
【発行元/発売元】 集英社 (2019/7/18) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ ときめきまんが道 ―池野恋40周年本― 上 (愛蔵版コミックス)

「ちぃちゃん」は岩手で暮らすお絵描き好きで内気な少女。いろんな人や作品との出会いを大切に、すくすく成長する。やがて「りぼん」に投稿し、漫画家としてデビュー――そのきっかけは、お告げ!? 『ときめきトゥナイト』の作者・池野恋が、自身の半生を振り返るエッセイコミック! 【同時収録】M・Y様に捧ぐ/あとがきエッセイ


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安島薮太/クマ撃ちの女


クマ撃ちの女 1巻: バンチコミックス

■執念と情熱でヒグマを追う女性狩猟者の話。

女性の狩猟者を主人公とした、エゾヒグマ狩りの話。 追っているのに遭遇しても失敗して襲われることが頭によぎり 撃てない、でもそれでもその後も執拗に追いかける、というのが リアル。


冒頭は、彼女が取材を受ける予定で、でもすっぽかしたことを 取材する側の視点からモノローグが入る、という面倒くさい スタイル。こういうギミックは読みづらいが、この話は主人公 が自身を説明したり傍から客観的に彼女を描写する第三者は確かに必要。結果、素人がバディとして同行する、というよくある 設定になってしまったが、本作に関しては正解。


同行する第三者は脱サラして専業をはじめたばかりのライター。 祖父が彼女と同じ猟友会ということで、ヒグマを仕留めた若い狩りガールがいると聞いて取材を持ちかけてきたのだった。 この、狩りガール、的な軽いノリの話なのかと思ったが、 主人公はもっとヒグマに対して狩りたいという執念が強く、 でも自分はまだまだであるという認識もあるという状況で、 全く軽くはない。ちなみにクマを狩猟するというとマタギという 単語が浮かぶが、マタギは集団狩猟なので、 単独行動している彼女をマタギ女子とかマタギガールと 称するわけにはいかないのだろう。まぁキャッチーじゃないしね…。


それと、クマにしても生き物なので、それを安易に狩るのは なぁ…ということで、害獣退治という名分でお声がかっているなら ともかく、そうでない場面での狩りは微妙な感じも。ただし。 133ページにある「私はヒグマを撃ちたくて撃ちたくてたまらないんです」は私欲というのとはちょっと違う。 主人公こだわっている理由は、143ページに「敵討ちのクマ撃ち」 とあり、180ページめ中段のコマで クルマに乗っていて襲われたような様子が描かれているので、 つまりは、そういうことなのだろう。 そりゃそうだ。相手に何かを認めていなければ、 そこまでのめりこむこともない。


かように、根っこは結構重い。 それをライターが同行するというスタイルで、 この話はどこに着地させるのか。 エピソードは読ませるのだが、大きなストーリーに 関してはちょっとどう転がるのかなぁと思いもする。


【データ】
安島薮太
クマ撃ちの女
【発行元/発売元】 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ クマ撃ちの女 1巻: バンチコミックス
小坂チアキ、職業・兼業猟師。 彼女が狙うのは、“日本最強生物”エゾヒグマ……!! 北海道を舞台に描かれる、命がけの狩猟劇!!



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北野詠一/片喰と黄金


片喰と黄金 (ヤングジャンプコミックス)

■あまりなさそうな、アイルランド移民漫画。

大飢饉のアイルランド。 農場の主人と従者という関係だった二人は 浮浪者となり死体漁りをしながらも ゴールドラッシュのアメリカへの渡航を志していた。


飢饉でそれまでの生活を失い、身内も失い、 食べるものもなく、しかしだからこそ残された者は そうした苦しみを、飢えも病気も未来永劫知らなくて良い大富豪に なるのだ、と強い意思を持った者の話。


アイルランドからアメリカに移民として渡る漫画。 飢饉に苦しむアイルランドを起点として一世を描く 漫画はそうそう見ない。意思はあるが、栄養は足りていないし ケガはしているし成長足らないし、ということで 基本シンドい話ではある。ただし夢と希望はある。


冒頭で出会った娘をなくした青年が同行するバディものに なるのかと思いきやそんな展開にはならず、 その後も出会いがあっては別れていく形。 主人公に周囲を巻き込んでいく才覚があることは 道中で示されている。


登場人物を増やさないのは転がし方として上手い。 切なくはあるのだが。一巻のうちに アメリカに上陸したのはちと早い気もするが、 そこまでの過程で尺をとるのも厳しいので これで適正なのだろう。


シビアな話だが、それでもコメディタッチ含めて テンポよく運んでくれるので読みやすい。 面白いとは思うが、読んでいて気分のよい 話になるかというとそれは無理だろうなという 題材なので、続刊を買うかどうかは様子見で…。


【データ】
北野詠一
片喰と黄金
【発行元/発売元】 集英社 (2019/6/19) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 片喰と黄金 (ヤングジャンプコミックス)

1848年、カリフォルニアで発見された一粒の黄金をきっかけに始まったゴールドラッシュ。黄金発見の翌年、1849年。噂は世界中へ広がり、野心家たちが無名の田舎町へと押し寄せていた――。同じころ、アイルランドを襲った未曾有の飢饉で全てを失ったアメリアとコナーの貧乏主従も、人生逆転を期してカリフォルニアへ向かう。大西洋を越え北米大陸を横断する遥かな旅が始まる!



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山本崇一朗、北尾まどか、ねこまど/それでも歩は寄せてくる


それでも歩は寄せてくる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

■二人きりの将棋部を舞台にしたショートショート。 同工異曲も、可愛らしい。

高校2年生の先輩女子と、1年の後輩男子。 ふたりきりの将棋部。連日放課後に二人で将棋を指しながら、 後輩は言う。「すごいですねセンパイは…/こんなに将棋が強くて/そのうえ/そんなにかわいいだなんて」 などと言いながら、センパイ女子が 「私のこと好きだよな」という問には答えず、かわしまくるのだった。


告白するのはセンパイに将棋で勝った時、と誓っている後輩の話。 そのままツンデレっぽくうだうだと、告白手前の相思相愛状態の イチャイチャが続くという、ほの可愛いお話である。


基本はただそれだけ。一話おわるごとに棋譜がついているのがユニーク。そのかわり本編ではほぼ局面を見せることはない。別にそれでいいと思う。


自称将棋部なのでセンパイとしては部員をあと二人集めて本物の部に昇格させるのが望み。一方で二人きりのこの状態を維持したい後輩としてはそれを阻止したい、というやりとりが基本。そのまま特に進展もなく 一巻終了。このモラトリアムは楽しいっちゃあ楽しいが…。なお、著者作品のほぼ同工異曲も、キャラクター的には男子が女子を弄ぶ体になっている点が他作品と違うところでしょうか。


【データ】
山本崇一朗、監修=北尾まどか、監修=ねこまど
それでも歩は寄せてくる
【発行元/発売元】 講談社 (2019/7/4) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ それでも歩は寄せてくる(1) (週刊少年マガジンコミックス)
「からかい上手の高木さん」山本崇一朗が描く超尊い将棋ラブコメ!この恋、詰むや詰まざるや…?将棋の初心者・田中歩は部長の八乙女うるしに勝って告白したい。棋力は程遠いけれども、ぐいぐい攻めてくる歩の姿勢に別の意味でセンパイは“詰む”かもしれない…というお話。


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魚豊/ひゃくえむ。


ひゃくえむ。(1) (KCデラックス)

■100メートル短距離走にかける人々の話、 なのだろうが現時点では早熟な才能の話に見える。

生まれつき足が速かった少年。他には何もない、 と思っていたが、ある日、それだけでいいのだ、と気づく。


走ることが速いことを自覚した少年が主人公。 そこにどんくさい転校生が新たな登場人物として加わる。 彼は登下校、全力で走っていた。彼が走る理由は、辛いから。 気が紛れるから。「現実より辛いことをすると現実がぼやける」と。


考え方の違う二人を交差させる物語。 さらに短距離界の中学生エースを話に絡ませ、 走ることとはどういうことか、を突き詰める。 なかなかに深い話。


一方で中学に進学した主人公は 全国一となりながらも、その差は昔ほどではない。 過去の才能の遺産で生きていることを本人が自覚している。 一巻を読む限り、早熟な才能の話。早い段階で自分の能力や あるいはテクニックに気づき、あるいは本気で望めば、 そうでない他の人たちとの差がつくので抜きん出ることができる。 しかしそれが世界で戦える才能なのか。 そして未来も戦える才能なのか。 シビアな話である。


なお作品で描かれれる短距離走は、絵としての躍動感に乏しい。 これはそのうちこなれてくると思いたい。


【データ】
魚豊
ひゃくえむ。
【発行元/発売元】 講談社 (2019/6/7) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ ひゃくえむ。(1) (KCデラックス)
俺はトガシ。生まれつき足が速かった。だから、100m走は全国1位だった。「友達」も「居場所」も、“それ”で手に入れた。しかし小6の秋、初めて敗北の恐怖を知った。そして同時に味わった。本気の高揚と昂奮を──。100mの全力疾走。時間にすれば十数秒。だがそこには、人生全てを懸けるだけの“熱”があった。



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