塩田武士、須本壮一/罪の声 昭和最大の未解決事件


罪の声 昭和最大の未解決事件(1) (イブニングKC)

■様々な賞をとった小説のコミカライズらしいが、 小説は漫画よりも遅れた存在になっているので 本作に漫画にする価値があったかどうか。 実在の事件を題材にそれを仄めかしながら 作るフィクションなど、特定の意図がないのであれば 絶対にやってはいけないことだと思うのだが。

存じ上げなかったが昨年刊行の小説で いろいろと賞もとっているらしい。 Amazonでは週刊文春の清水潔氏の評が転載されているが、 文春も清水氏もともに嫌悪感を持つ私には 敬遠させるに十分なアピールだった。


作品は1984年に起きたという毒物混入事件、「ギンガ・ 萬堂事件」を発端にしている。実在した グリコ森永事件を彷彿させる、というかそのまま、 という時点で、フィクションとしてあるまじきものだと 思っている。しかも未解決事件で真相はわからない。 そんな話をモチーフに描くのは、ダメだろう。 モチーフに注目させたいという特殊な目的を持つなら別だが、 それもそれで不順でいやらしい話であるし、そうした目的がないなら、 モチーフは傍目にわかるような形で取り上げるのは 未熟である。


話は仕立て屋の息子が亡き父のものらしい手帳とカセットテープを 発見、そのカセットはかつての 事件のときに使われたもののようで、しかもおさめられていた声は 幼き頃の自分の声であり、父親が何らかの形で事件に 関わっていたのかと訝しむところから話が始まる。 並行して新聞記者もかつての未解決事件を追うという企画で 取材を進めていく。


取材を進めていく様は確かに面白い。ただ、新聞記者のほうは・・・ まぁ抜けている設定なのだろうからいいのかもしれないが。 一昔前のドラマのツイストだろう、これは。


そして、真相を突き詰めようとする理由が実は弱い。 新聞記者はそもそも自身のネタでもなく雇われ仕事である。 仕立て屋の息子は自身の声が事件に関与している らしいと思っているからだが、深入りしてどうするという プランがない。そもそも父親は関係なさそうだという ところは見えてきている。どうしても真相を 追求しなければ、という熱意が見えないまま 話だけが転がっていく。キャラクターが弱すぎる。 これは、漫画オリジナルの作品ではほぼありえない。 小説はまだ物語を追うだけの内容でも評価されるようだ。 まぁそれは、小説は一巻完結で刊行されて結末まで一気に読める という性質ゆえだろうが。


個人的には フィクションはできれば現実の事件事故とは無縁なところで 描くべきであると思っている。現実の事件事故の真相を勝手に想像するようでは、 週刊誌やワイドショーと変わらない。 フィクションはそんなレベルに堕してはいけないだろう、と思っている。 こんなコミカライズは正直勘弁してほしいのだが、まぁ自社の原作だし しょうがないのかねぇ。


【データ】
原作=塩田武士(しおたたけし)、作画=須本壮一 (すもとそういち)
罪の声 昭和最大の未解決事件
【発行元/発売元】講談社 (2017/8/23) 【レーベル】イブニングKC 【発行日】2017(平成29)年8月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ D(問題) ■続刊購入する?→★
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京都でテーラーを営む曽根俊也。ある日、彼は父の遺品の中から黒革の手帳、そしてカセットテープを発見する。手帳は英文でびっしりと埋め尽くされており、さらに「ギンガ」「萬堂」という製菓メーカーの情報が。そしてカセットテープには幼い子供の声が入っていた・・・。その声は、31年前に起こり未解決のまま迷宮入りした、【ギンガ・萬堂事件】で脅迫に使われた録音テープの音声と全く同じだった。――「これは僕の声だ」。 そこから俊也の苦悩が始まる。それと同じ頃、大日新聞大阪本社の新聞記者・阿久津英士は年末の特集記事で【ギンガ・萬堂事件】を扱うことに。英国に犯人らしき重要人物がいたとの情報を受け渡英するが・・・。31年前、実際に起きたあの未解決事件に迫るミステリー大作!!


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