西川魯介/裏の家の魔女先生


裏の家の魔女先生(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)

■借家人の作家先生との交流というか料理もの。

自宅の裏の物件に借家人が現れた。彼女は小説家。大家の息子である少年は、彼女に 誘われちょいちょいと食べ物をご馳走になるのだった。


というわけで、レシピ漫画のような感じになりつつ。大家の息子には幼馴染で仲の良い女の子がいるので作家女史との恋愛という話にはならず。一方、少年は作家に昔会った記憶があり、題名にも魔女とつくだけの理由があり、それまでと毛色の変わったエピソードで本編終了。本筋はなんだろう?という気がするお話だが…。


それと。巻末には別の読み切りあり。本編ではそういう感じが出てこなかったのに思いっきりエロなんですが、この単行本に収録で良かったのだろうか…そしてエロだがお笑いで下げるという、著者らしいオチ。著者のファンには良いサービスかと思うが、著者作品初見の人は戸惑い動揺するのでは…。


【データ】
西川魯介
裏の家の魔女先生
【発行元/発売元】 秋田書店 (2020/2/20) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 裏の家の魔女先生(1) (ヤングチャンピオン烈コミックス)
読書好きな男子高校生・石垣蛍太は、自宅の裏に越してきたミステリアスな雰囲気の小説家・雨夜沙希子の料理とオトナの魅力にすっかり夢中! その輪の中に蛍太と幼なじみの女子高生・小賀坂深冬も加わって…。読めばお腹が空いてくる、すこし不思議なグルメ奇譚!


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【オススメ】 餅田まか/魔女先輩日報


魔女先輩日報(1) (プリンセス・コミックス)

■【オススメ】 一生懸命で不器用な魔女の先輩と、後輩とのうぶなラブコメ。かわいい。

仕事終わりの後輩は帰り道に箒にまたがり空飛ぶ魔女の先輩と出会う。 要領が悪く頼まれたら断れないお人好しな彼女に後輩男子は正直イライラ。 …まぁ当然のごとくそれは恋の始まりなのだが。


不器用な先輩とそれを気遣う後輩とのラブコメ。社会人としてはちとウブではないのといいう気もするが、魔女である先輩の設定が適切なので納得感はある。魔法使ってズルしてるんじゃないの?と思われるのがイヤで、なのでいろいろ気を回しているうちに、便利使いされるようになった、と。


自分がなく自己肯定感も低い彼女には、魔法や魔女に対して批判的な人がいる状況もあるようだが、その辺りはさらっとすましている。そんな彼女がきちんと自分のことを考えるようになる展開は心地よい。


弟や話せるイグアナに加え元の彼氏が登場。その元カレ出現のおかげで物語としても人としても大きく転換していくところは良い話。踏ん切りをつけるところできちんとつけるというのは、大事。


【データ】
餅田まか
魔女先輩日報
【発行元/発売元】 秋田書店 (2020/2/14) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 魔女先輩日報(1) (プリンセス・コミックス)
仕事の帰り道、魔法であたためた一杯の缶コーヒーから、ぼくと魔女先輩の関係ははじまった。とくに役にたたない魔法と一緒に都会のかたすみで生きる、魔女先輩のものがたり。


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天野雀/亜童


亜童(1) (ヤンマガKCスペシャル)

■リメイク版「AKIRA」かな…能力の発動形態は絵的に面白い。

移民法が制定されて25年、という近未来。混沌とした社会の中で、 バイトに遅れそうとバイクを飛ばす少女は路上で突っ立ったままの 男の子を事故寸前で救い出した。


男の子は何らかの超能力的なものを持っているらしい。そして、 狙撃対象となっていた。 少女に連れられ食事をしていたところ銃撃されるが、 彼の身体から蔓のようなものが出てその銃弾を防ぐのだった。


亜童という存在が被実験体として研究されていたがそこから逃亡したのがこの男の子である、という話。彼を組織が追っている。追手は彼同様亜童である異能者も。…基本的には「AKIRA」のリメイクというかエピゴーネンというかトレースというか。そこにギミック的には「寄生獣」的なものが加わっている感じ。っていうか講談社のヤンマガレーベルで「AKIRA」っぽい作品を出しちゃうのか…。


異能者を異能者が狩るという構図はこの手の話の常。その追う異能者は自分についている首輪を外す方法を知りたくて男の子に接触したいと思っているという設定なのだが、男の子が首輪をしていない理由は研究員に外されたからということが回想シーンで示されており、読み手としては、おいおい、と思ってしまう。


この話を面白そうと思わせるには、男の子が逃げ込む先として相応に大きな組織が必要で、そこが追う勢力と対峙する形にならないと展開のしようがないと思うのだが…男の子の能力が暴走しはじめるところで巻またぎというのは、上手いように見えて、250ページもある一巻でここで切るのかという釈然としない思いも。


【データ】
天野雀(あまのじゃく)
亜童(あどう)
【発行元/発売元】 講談社 (2020/2/6) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 亜童(1) (ヤンマガKCスペシャル)
日本が移民を受け入れて、人種のるつぼになった時代。 ハッキリとものを言う性格がアダとなり、仕事を転々としている19歳の冴木リコはある日、交通事故に巻き込まれかけた少年・エイトを救う。 警察でも身元がわからず連れ帰ると、エイトが軍隊に狙撃される。 リコはエイトの重大な秘密を知ることになり、ともに「敵」と戦う決意をする! ヤンマガ期待の俊英が描く本格SFアクション、開幕!!


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【オススメ】 上野はる菜/ハナさんは実らせたい!


ハナさんは実らせたい!(1) (Kissコミックス)

■【オススメ】見合い相手に断られたけど、 実は彼とは別の繋がりがあって…瓢箪から駒になりそうな物語。

婚約していた相手が浮気。彼が裏切ることが相次ぎ、 家族には何かに憑かれているのでは?とまで言われる女性。 しかもその後の通勤電車では痴漢被害に。 その時助けてくれた相手と、お見合いする羽目に。 実は妹に持ち込まれた話だったのだが…。


彼と会って話もはずんで、この相手なら、と思ったが、 先方からはお断りが。しかしその後も偶然彼と出会い、 その時、自分の家庭菜園ブログによくコメントをつけてくれる 常連さんが彼だと気づく。そして、彼の勤めている会社が 中途入社を募集していることも知り、応募したところ見事に就職が決まるのだった。


ヒロインのキャラクターが割とさばさばしていて、リアリティあって面白い。見合い相手には、ブログの常連さんかもしれない、という点で執着しているだけなので、ストーカーとはまた違う。相手にはプレッシャーかけてるかもしれないという自覚はあれど、それはそれでと面白がってもいる。 …こんなキャラクターが浮気されるかな、と思いもするが、まぁそこはオミットするとして。


表向きな建前と本音が、ブログを通して現れる、というのはユニークだが、しかもそれがブログにコメントを寄せる常連さんに適用されるところが秀逸。そもそも仕事ができる二人なので、読んでいて心地よい話に仕上がっている。あらすじ読んで想定した内容より遥かに面白い。その後のツイスト具合も絶妙。妹の設定が展開に効いている。この作者さん、巧いな。


【データ】
上野はる菜
ハナさんは実らせたい!
【発行元/発売元】 講談社 (2020/2/13) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ハナさんは実らせたい!(1) (Kissコミックス)
痴漢から助けてくれたイケメンと、お見合いで再会! 食事の約束もして、いい雰囲気…だったはずなのに、まさかのお断り!! 「そもそも結婚する気なんてないんです」という彼に、怒り沸騰するけれど、彼がネット上の知り合いかもしれないことが発覚! 現実での嫌な彼、ネット上での優しい彼、どっちが本当? 彼のことをもっと知りたいと思ったハナさんは、勢いで彼の勤める会社の中途採用に応募。するとラッキーなことに採用されて、彼と同僚になれちゃって…!? 愛情重すぎ女子×恋愛に興味がない男子の全力ラブチェイス、単行本版で登場!!



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【オススメ】 音井れこ丸/その時の彼女が今の妻です


その時の彼女が今の妻です (ビームコミックス)

■【オススメ】題名通りのワン・テーマもののオムニバス短編集。 上手い。そしてヒロインはほぼ全員、若林さんなのだった。

ありがちかもしれないきっかけを描き、題名通り「その時の彼女が今の妻です」と落とす、掲示板やSNSでよくありそうなネタで綴るショートショート。1テーマでいくつものシチュエーションを想定していく著者の真骨頂。


1話めはそこそこありそうなものなのでこんな感じでいくのかなと思っていると2話めで相当なさそうなシチュエーションを放り込んでくる。そして4話めでヒロインの名前が出てきて以降安定してヒロインは「若林さん」に。


個人的には9話めの消防士のエピソードが好き。このひねったエピソードで全体が引き締まった。ツイストのある話がところどころ出てくるところが同じ題材でも味変次第で雰囲気が変わる感あり、一巻飽きずに読めました。終盤は同じシチュエーションから視点を買えて描いていく話でまとめていて上手。


そして巻末にはおまけとして、マシュマロにまつわるエピソード、というか「おじさんとマシュマロ」の一話めを焼き直し伸ばした話に。洒落た一冊に仕上がっています。


【データ】
音井れこ丸
その時の彼女が今の妻です
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2020/2/12) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ※一巻完結
■購入:
amazon→ その時の彼女が今の妻です (ビームコミックス)
不意打ちの出会いに、クスっとホッコリ。 ロマンチックじゃないけれど、なんだかグッとくる"胸キュン"な瞬間を激写するショート・オムニバス。


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【オススメ】 池田邦彦/国境のエミーリャ


国境のエミーリャ (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

■【オススメ】東京が東西冷戦期のベルリン状態だったら、というパラレルワールドもの。焦点を絞って話を進めているところが上手い。

1960年代の日本が舞台。ただし、現実の日本ではない。敗戦後東西が分割占領されたパラレルワールド。東京より東はソ連統治、西は英米統治地区。そして東京は、北区文京区台東区および中央区の一部以東は東、以西は西と分断され壁が築かれていた。


そうしたハード面の仮想設定に従い展開されるのは東側を舞台にした話。19歳の笑わない少女が主人公。彼女は人民食堂で働いていたが実は彼女は西側への亡命を手助けする脱出請負人だった。


そこへ単身、人民警察の者が依頼を装いやってくる、というエピソードが第一話というフルスロットルで始まる物語。この出し惜しみないスピード感ある話の入り方は見事。


仮想世界ものは珍しくはないがハード面の構築を丁寧に行う必要があるので手間暇がかかる。まぁ本当はどんな作品でもそうなのだが、現実ベースだとなりで良いところをこの手の作品は全部シミュレーションしておく必要があるのでより手数がかかる。その分、きちんと手数をかけると作品は確実に佳作となる。タイムリープものに佳作が多いのと同様。


兄に関するエピソードは生真面目すぎ、親友に関するエピソードもウエットなところがあるが、それも1960年舞台の仮想世界ものでこの絵柄という点で非常に似合う。内容はハードボイルド。かつての劇画調なテイストをいま新作で描くのは一周まわって新しい。著者は良い鉱脈を発掘したのではないか。


一方で宣伝惹句が冒頭で「鉄道漫画の旗手」として著者を紹介しているのはミスディレクション招くかも…本作でも鉄道ネタが随所に出てくるのは著者が手掛けているがゆえのストロングポイントだとは思うが、鉄道もの期待して読む人向けの内容ではないし、著者紹介して読者呼び込む内容ではないので勿体ない売り方なのでは。なお監修の津久田重吾さんは「いまさらですがソ連邦」(ソ連・ロシア好き声優・上坂すみれさん絶賛!!)などの書物がある方ですね。


【データ】
池田邦彦、監修協力=津久田重吾
国境のエミーリャ
【発行元/発売元】 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 国境のエミーリャ (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

鉄道漫画の旗手・池田邦彦が挑む新境地!!
『カレチ』『甲組の徹』『グランドステーション』など、 数多くの鉄道漫画を生み出してきた池田邦彦が 新たに挑むのは「仮想戦後活劇」!
物語の舞台は、太平洋戦争末期に本土決戦を経て 「1946年1月」に敗戦を迎えた日本。 ソ連を含む各国軍によって分割占領された日本は、 やがて「日本民主共和国」と「日本国」として独立。 それぞれが東西陣営に属する国家となり、 列島には鉄のカーテンが降ろされることとなる。
両国の境界には強固な壁が建設され、 国境の街となった東京は東西に分断されてしまう。
1962年の東トウキョウ。 押上で暮らす19歳の杉浦エミーリャは 十月革命駅(旧上野駅)の人民食堂で働く女性。 その彼女が持つもうひとつの顔、 それは東から西へ人々を逃がす脱出請負人としての顔。 若くして危険な橋を渡る彼女を待つ未来は果たして!?
“可能性としての東京”を舞台に、 壁の街で自分の道を模索する人々の物語、ここに開幕。


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【オススメ】 脊髄引き抜きの刑/推しのアイドルが隣の部屋に引っ越してきた


推しのアイドルが隣の部屋に引っ越してきた: 1【イラスト特典付】 (REXコミックス)

■【オススメ】アイドルによるドSコメディ。 この題材をここまでポップに料理した作品は滅多に無い。

あるアイドルを推している青年。彼の住んでいる部屋の隣に、 推しているアイドルが引っ越してきた。それは最高なこと、 と思ったのだが。オタクにとっては地獄でもあった。


アイドルをめぐるどぎついコメディ。隣の部屋で推しのアイドルが エッチしている音がする、というところから始まり、 なんどか握手会などで接触しているけど認知されていない、 名前も覚えられていない、プレゼントしたものは捨てられる。 それでも推しはやめられない。片恋の苦悩。


そんなヲタク側の話を描きつつ、アイドルが性悪であるとか裏表があるという 話ではなく、いや性悪で裏表あるのだけれど、ヲタク自身が思っているのとは 全く真逆のストーカー体質である設定にしたのがユニーク。 しかもオタクとアイドルがくっつくような話にはせず、一捻り。 彼の反応を見るためにアイドルが色々な仕掛けで誤解させ、 そこで苦悩し絶望する様を見てゾクゾクするというのはサイコな話なのだが、 その手のサイコホラーのなかでは非常に読みやすいのはコメディ的に 見える構図だからか。


【データ】
脊髄引き抜きの刑
推しのアイドルが隣の部屋に引っ越してきた
【発行元/発売元】 一迅社 (2020/1/27) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 推しのアイドルが隣の部屋に引っ越してきた: 1【イラスト特典付】 (REXコミックス)
「推しが×××してるってどんな気持ち?」推しのアイドル・ミカが隣の部屋に引っ越してきて有頂天のマサキ。喜びも束の間、恋愛禁止なはずのアイドルの部屋からアノ声が!? ショックを受けるが、実はマサキを弄ぶミカの”ドSすぎる遊び”だった――! Twitterでバズった脊髄引き抜きの刑によるアイドルとヲタクのラブコメ(!?)漫画第1巻!


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